アデノウィルス感染症とは |
アデノウィルスは、かぜの原因となる多くのウィルスの中でとても重要なウィルスの一つです。(ちなみに…アデノという言葉は元来「腺」という意味ですが、これはこのウィルスがアデノイド=咽の扁桃腺が肥大したものと深い関係があると考えられたことからついた名前とされています。)
かぜのウィルスにはアデノウィルスの他にライノウィルス、エンテロウィルス、コクサッキーウィルス、エコーウィルスなど数え切れないほどたくさんのウィルスがありますが、(インフルエンザや麻疹、風疹、おたふくかぜなど、はっきりした特徴的な症状をもったかぜを除くと)アデノウィルス以外はウィルス独自の特徴ある症状があまりありません。かぜの症状の中でも比較的重く、また多様な症状を示すのがアデノウィルスによるかぜとなり、高い熱が4日も5日も長く続いたり、目や胃腸にも症状が出たりします。アデノウィルスによるかぜはとても多い病気で、小児のかぜの約10%がアデノウィルスが原因で起こっていると言っている学者もいます。
また、アデノウィルスはいわゆる「かぜ」の他に、「プール熱」や「はやり目」と呼ばれている病気の原因にもなっています。(プール熱は咽頭結膜熱、はやり目は流行性角結膜炎というのが正式な病名です。)他にも肺炎や胃腸炎、膀胱炎、発疹など様々な症状も引き起こします。アデノウィルスは血清型という分類法で現在のところ51種類に分類することが出来ますが、この51種類がそれぞれに異なった性質を持っていますのでこのように色々な症状を引き起こす原因となっています。また、1つの型のアデノウィルスに罹患してもまだ罹ったことの無いアデノウィルスに対しては無防備となりますので、アデノウィルスには何回も感染してしまいます。
残念ながら、アデノウィルスに効く特効薬は今のところありません。また、ワクチンも広く一般に使われているものはありません。このためアデノウィルス感染症では、症状にあわせた対症療法が中心になります。高熱が続き食欲が無い時は、脱水症状を防ぐために水分の補給が大切となります。必要に応じて抗生物質やステロイドが用いられることもありますが、これと言って決め手となる治療法はありません。
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